フェス飯クラブ / Fesmeshi Club

トンポストってなんだろう? ROCK ON THE BEACHで見える化した豚さんによる食の循環。

トンポストってなんだろう? ROCK ON THE BEACHで見える化した豚さんによる食の循環。

いったいフェスでは、どのくらいの生ゴミが出ているのだろう。愛知県蒲郡で5月に開催されている「森、道、市場」では「森道堆肥セッション」というプロジェクトが行われている。フェスで出た生ゴミを楽しみながら回収するプロジェクトで、およそ1トンの生ゴミを回収して、2000リットルの堆肥を作ったという。数万人を集めるフェスで、そこで生まれるすべての生ゴミではないにしても、生ゴミをゴミとして捨てるのではなく、堆肥(コンポスト)として循環していくことを可視化させている意義は大きい。


 今年は「森、道、市場」の翌週に開催されたのが「ROCK ON THE BEACH(ROB)」。「森、道、市場」の隣町の西尾で開催されているこのフェスで行われていたのが、コンポストならぬトンポスト。会場で出た生ゴミを分別して、豚とミミズと微生物に食べてもらう、食としての循環だ。このトンポストを考えたのがりんねしゃの飯尾裕光さん。りんねしゃは「食や環境、暮らしの安全や安心と向き合い、無添加食品・有機農畜産物・天然生活雑貨を製造販売する会社」だ。飯尾さんはその2代目で、2008年には北海道滝上町で多面的農業を学ぶ循環型農場を設立し、現在は愛知と北海道の2拠点で、農場運営とアウトドアフィールドでの食と農に関わるアグリビジネスを展開している。ROBでは「菌とミミズ・豚と人間について」と題された飯尾さんのトークショーも行われた。


「そもそも『森、道、市場』では、自分たちの出展ブース横でミミズコンポストによる生ゴミ回収を単独ではじめた。それが何年かして堆肥セッションにつながっていきました。でも最初から豚での食の循環をやりたかったんです。実はフェス飯で出てしまう生ゴミにはミミズや微生物のコンポストに向かない食材も多い。例えばレモンとか。フェス飯ではレモンっていっぱい使ってるでしょ。いつかフェスに豚を連れて行きたかったんです。けれど『森、道、市場』では難しくて、やっとこの『ROB』で実現できたんです」と飯尾さん。
 飯尾さんによると、牛や鶏とは違って、豚は人間と食べられるものが似ている。微生物には向かない食材も、喜んで食べてくれるという。ROBに連れてきていたのが、生後3ヶ月の30キロ程度の豚。このくらいの大きさの豚だと1日に1キロ程度のエサを食べる。1年で60キロから100キロまで成長して出荷される。そして私たち人間の食材となって循環する。


「生ゴミとは違う言葉を作りたいんですよ。生ゴミと言われているのは、ほとんどが食べられるけれど、人間の都合によって食べなくなったものなんですよね。だから生ゴミでもなく、エサでもない言葉。それが循環のなかで生かされているんだということがわかる言葉。食の循環にとって豚は有効でありがたい生き物なんです。人間の経済圏のなかにいるのが豚なんですから」と飯尾さんは話を続けた。


 一頭の豚では、ROBで出た「生ゴミ」すべてをまかなえたわけではない。けれどフェス会場で豚が食材を食べている風景は、食べることや食べるための循環のことを考えるきっかけになった。トンポストは、大きなフェスではないからこそ実現できた食の提案だったと思う。

<text・photo=菊地 崇>

ROCK ON THE BEACH 2026
日時:5月30日(土)~31日(日)
会場:LINX特設広場& Cafe Goofy
https://rob-kira.com/