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ZERO ACTION ARCHITECTが創造するORANGE ECHOの世界観(前編:ステージ編)
「うわあー!オレンジエコーめっちゃ人いるやん!!」
FIELD OF HEAVENのさらに奥、ORANGE ECHOの光景が広がる道の途中でフジロッカーからこんな声がこぼれた。
なんとなくORANGE ECHOはフジロック最奥の地だし他のエリアより空いてる期待感があったのだろう。だけど実際は独創的なステージと想定よりもずっと多い人に良くも悪くも裏切られてしまったことによる戸惑いの声だったんだと思う。それから、アジアな雰囲気のフェスごはんの香りが漂ってきて、新しい世界観へ脚を踏み入れるワクワクが湧きはじめている自分に気づく。

2025年に新設された「ORANGE ECHO」は日本やアジアをはじめ地域の概念を超えた多彩なアーティストが出演するバラエティに富んだステージが特徴だ。このクロスオーバーなステージは2025年に登場してから2年目にしてフジロックの新たな見どころとなっている。印象的なステージの装飾を手がけているのは鳥取県米子市に拠点を置くデザインビルダー「ZERO ACTION ARCHITECT(以下ゼロアクションアーキテクト)」である。今回はこの独創的な舞台裏を支える株式会社ゼロアクションアーキテクト代表取締役 松永裕治氏に「ORANGE ECHOの世界観」についてお話を伺った。
はじまりは「橋の下世界音楽祭」

ゼロアクションアーキテクトが今年(2026年)手がけたORANGE ECHOのステージ。ステージ脇に異国の寺院のように組み上げられた2体の塔がそびえる独創的なステージ装飾は多くのフジロッカーたちの目を引いた。
2025年から始まった日本やアジアの文化をテーマにしたステージ「ORANGE ECHO」のステージは愛知県豊田市で開催されている『橋の下世界音楽祭』のチームが手がけているということで、コアなファンの間で話題になった。まずは「橋の下世界音楽祭」と松永さんの関係と松永さん率いるゼロアクションアーキテクトについて伺った。
松永さん 僕らは元々「橋の下世界音楽祭」でステージを担当してたんだけど、その「橋の下世界音楽祭」チームが新たにフジロックで「ORENGE ECHO」を担当するということで僕たちもこのステージに関わることになった。ゼロアクションアーキテクトは、鳥取に本社があって住宅や店舗の建築設計から施工まで自社で賄うデザインビルダー集団なんだけど、その中で培ってきた経験をアート制作などクリエイティブな分野でも展開してて、最近では最先端の5軸マシニングセンタを導入して高精度な加工ができるようになってさらに複雑なデザインにも対応できるようになった。うちの現場をみて「あれを自分のプロジェクトでもやりたい」という風に次の現場が決まっていくという感じで広がってきてるね。
5軸マシニングセンタは、3D加工に対応した多機能な工作機械で、従来の木工設備では実現が難しかった高精度な加工と複雑なデザインの彫刻、彫り込み、曲線加工など多様な加工が可能となった。
クリエイティブを支える橋の下世界音楽祭のマインド
ひと目見て独創的と感じる空間を生み出すゼロアクションアーキテクトの現場。ものづくりの中で心がけていることについて伺った。
松永さん 実は元々地元鳥取でフェスを7回くらいやっていたのでフェスに対しては色々思うところがあった。自分でも会場企画や運営をしている中で不便を解消する方向で「あれも、これも」となると設備を拡張していく方向に進んでしまう。それだと野外でイベントをやっている意味がない。
そんなことを思う中で影響を受けたのが「橋の下世界音楽祭」の「橋の上の世界はなんでもあるのになんにもない、橋の下の世界はなんにもないのになんでもある」っているテーマでの「ものづくり」だったんだよね。
松永さんが影響を受けた「橋の上の世界はなんでもあるのになんにもない、橋の下の世界はなんにもないのになんでもある」の意味するところとは?
松永さん このテーマから掴み取ったのは「足るを知って、限界を適切に見極める」ってことで、現場の制約を生かした表現を探求することができた。インフラが整っていないフェス会場で、あえてその環境を楽しめるような素材選定や構造・組み上げ技法なんかを考えて、仮設の空間だけど世界観が生まれる表現にこだわってるかな。地元のセントラルの加工場でパーツを事前に加工しておくので、現場ではパズルのように舞台を組み上げられる。会場設営の時間をかなり短縮できるので、舞台が組み上がってから現地でグラフィティーアーティストのCASPERさんに仕上げのグラフィティを描いてもらってる感じだね。

説明を聞いて改めて舞台を見てみると、パズルという以上に日本家屋の従来工法のように精密に組み上げられたパーツにグラフィティの即興性が加わり、フェスの祝祭感や躍動感が表現されている。

ステージ前のバリケードフェンスの木材にも「FUJIROCK FESTIVAL 2026 ORANGE ECHO」と彫り込まれた一工夫が。こうしたディティールへのこだわりがステージの世界観をぐっと引き立てる。

照明が加わった夜のORANGE ECHOの風景。頭頂部のミラーボールが光り、グラフィティが浮かび上がったことで塔の存在感が増している。
松永さん 極限状態だから挑戦できるクリエイティビティがある。現場に合わせた素材感を感じられる材料と計算し尽くされたモジュール(全体を組み立てるための「まとまった機能を持つ部品」)を使って訴求力のある空間づくりにこだわってるかな。
後編では松永さん率いるゼロアクションアーキテクトのこだわりがつまったキッチンカーについてお話を伺ったので、乞うご期待。

松永裕治氏
株式会社ゼロアクションアーキテクト代表取締役
https://zero-action.com/
FUJI ROCK FESTIVAL'26
2026年 7/24(金) 25(土) 26(日)
新潟県湯沢町 苗場スキー場
https://www.fujirockfestival.com/